S's case

日々の暮らし、夫との戦いの記録

粗食にまつわること







ある日の昼食。

超粗食。




玄米ご飯に黒ごまペーストと塩。

お豆腐を薄いお出汁で炊いて、ワカメふりかけをかけ、ごま油を少々。






玄米ご飯と豆腐、お味噌汁か野菜の煮物を少し、というのは「甲田療法」に基づくもの。

更年期だったのか、高血圧、不整脈、めまいなど体調が悪くなった時期に父と始めた療法。



今では70歳になる母が自分なりにアレンジしているが、20年近く、それに沿って実践している。早寝早起き、朝散歩、週2日の体操と食事療法で背筋もピンと伸び、頭も冴えている。










8年前、父が亡くなった。

母は、誰にも会いたくない、どこにも行きたくない、と全く外に出られずにいた。

出かけた先で夫婦で歩いている人を見るだけで、私は1人だ、と泣き、会社の社長室に掛かっている父の作業服を見て、また泣いた。

寝ても覚めても、ことある事に、泣いていた。泣き暮らす、というのを初めて目の当たりにした。

どうやって生きていけばいいのか、と泣きながら、それでも、父が遺した会社をどう守っていけばいいのか、と、一緒に少しずつ前に進んだ。食事療法はもちろん、朝の散歩を少しずつ再開。毎日が大変で必死だった。

母は当時のことをあまり覚えていない。









今はすっかり元気になり、

父の居ない寂しさを抱えながら、食事療法を続け、仕事はもちろんお稽古事や旅行、買い物、大好きな和菓子を食べたり、色々楽しんでいる。本当によかったと思う。



あの辛かった日々を越えたから今がある。



私もいつか、そう思える日が来るだろうか。

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